お問い合わせ
0835-38-0697

スタッフの日々の活動についてお伝えするトピックスです。

OUCデザイン室 デザイナー 藪上 昌昭

「感性ではない。全てのデザインには意味がある」
ワークウエア哲学で「ものづくり」を具現化する
HARADAのデザイナー

2018年に開設したHARADA東京オフィスのメンバーの登場です。
藪上さんはOUC事業で、デザイナーというスペシャリストですが、
どのような業務をされているでしょうか?

2018年の夏に入社しました。業務はオーダーユニフォームの企画デザインです。お客さまの業務内容を情報収集し、将来イメージやご要望をヒアリングし、より具体的なご要望、「どんな世界観が好きか」「どんな動きをするか」などを詰めていきます。そこからラフ案を手書きで起こします。 その後、ラフ案の細部を詰めてデザインを完成させお客さまに確認していただき、OKが出たらサンプル制作に入ります。 そのサンプルでまたブラッシュアップをし、最終決定で発注になるという流れです。 このような形の流れの案件を、だいたい、20〜30は同時進行している状況です。

進行段階は違うとはいえそんなに同時進行するのですね。
1案件のデザイン作業の期間はどのくらいなのですか?
たとえば、サンプルができてからまた振り出しに戻るケースも…?

案件にもよりますが、デザイン段階としては半年くらいです。 2次元のイメージ画からサンプルという3次元に存在する立体になると、新たな気づきや相違点も出てきます。ある程度イメージ画で予測できますが、素材感や色、細かなポケットの位置やパーツなど…お客さまの仕事に合うかどうかはそこでの確認が必須です。でもそこで振り出しに戻るなどの非効率がないように、私たちはしっかりとしたコミュニケーションで、ニーズを正確に把握してデザインするように心がけています。

綿密なコミュニケーションが成功の近道なのですね。
では少し藪上さんのこれまでの足取りを伺いたいと思います。ご出身はどちらですか?

出身は福井です。山の中の田舎でのびのびと過ごしていました。みんなで仲良くスポーツもしていましたが、印象に残っているのは、絵を描くことです。小学校の美術の先生がとても個性的な授業をされる方でした。体育館にビニールシートをいっぱいにひきその上に模造紙を広げて、さあ何でも好きに描いていいぞ!って、現代アートみたいな時間があったんです。「自由な表現」を大切にされる方針で、それで絵を描くことが大好きになりました。 中学に進むとサッカーに熱中しましたけどね。

自由なアートの世界と熱血スポーツの世界、マルチに得意だったのですね

僕たちのサッカー部は熱血というよりはクールな、「個の能力を伸ばしてプレーをする」って感じでした。ちょうどJリーグが大人気の頃ですから、そういう職人タイプのメンバーが多くて、それも刺激的でした。 中学生の高学年になると、ちょっと「みんなと同じ事をするのはカッコワルイ」と思うようになって、その頃デザインの世界へ興味を持ちました。 高校の文化祭で、クラスでダンスパフォーマンスがありました。ユニフォームとして、メンバーひとり一人にその人の個性に合ったイラストを描いたTシャツを作ったら、それがみんなとても喜んでくれたんです。 自分のアイディアや自分のセンスを活かすファッションで、こんなに人が喜んでくれる…これって素敵だな、と思いました。 そのような経験もあって、東京の美術系大学へ進学してファッションデザインの勉強をして、国内のセレクトショップへ入社しました。

それはもうファッションの世界での活躍という夢の実現第一歩ですね

はい。ただリーマンショックあったり、ファストファッションが注目されはじめたりという時代の波があり、3年目をむかえるくらいに会社が経営不振に陥りました。きらびやかな世界も魅力的でしたが、ファッションアパレルの作家性だけを追い求める業界に疑問を持ち、もっと違う考え方を学びたくて、30歳くらいを機に、ユニフォームの世界に飛び込みました。

「自分の中のファッション観」を追求した?

そこまではっきりとはしていませんでしたが、結果的に前職のユニフォームメーカーでの経験が自分の考え方を確立させてくれました。 シンプルなデザイン性で、最先端のサービスユニフォームをデザインするユニフォームメーカーです。主にホテルやカフェ・レストラン業界が多かったですね。 それまでは、ユニフォーム=カッコイイ世界とは思っていませんでしたが、全く覆されました。 デザイナーの先輩が2人おられたのですが、「デザインとは何か」「そのデザインに意味はあるか」を一から考える事をご指導していただきました。 「ユニフォームのデザインは感性でやったらだめ」これを現場で学んだことは大きかったです。

「デザインは感性だ」と思っている人も多いと思いますが…

ワーキングユニフォームのデザインは特に、機能性は必須の条件です。細部の1本のライン、小さなポケットひとつの位置まで「必然性」と「存在価値」が明確でないといけません。反対に、その細部の意味が大きな印象を形成することもできる。全てに意味がある。絶対にそこは曲げてはいけないのだと自分自身に言い聞かせながらデザインしています。

ベーシックだからこそ普遍性と永続性をもつ、重要なデザイン観ですね。
そしてその哲学を持ってHARADAに来られたのですね

学んだ経験からもう一つステップアップして「ものづくり」を自分で確立したいと考えて就活をしましたが、ピンとくる会社になかなか出会えずにいました。そんな中キャリアアドバイザーの方から「おもしろい会社がありますよ」と紹介されたのがHARADAでした。社長面接で話しを聞くと、想いやビジョンが他の会社とは全く違い、これはおもしろそうだ!と即決しました。ここなら自分のやりたかった「ものづくり」ができる、と感じたのです。

藪上さんはDREAMS COME TRUEの中村正人さんとの
ワークウエアプロジェクトでのデザインも手がけられましたね。
どのようなアプローチで取り組まれたのですか?

中村さんの熱心な思いが詰まった「世界にひとつだけのユニフォーム」を目指しました。それは表面的なデザインではなくワーキングウエアとしての機能美を追求し、理にかなった「ものづくり」です。素材、色使い、ディテール、シルエット、着用する中村さんがワークするときに身体の負担にならないようなサイズ感。すべてのデザインには理由があります。制作に関わるたくさんの方々の熱い想いがそれらを可能にしてくれました。

では、今後HARADAのユニフォームデザイナーとして、どのようなお仕事をしていきたいですか?

まずは、OUCで「世界にひとつだけのユニフォーム」を実現する「ものづくり」をしていきたいですね。そのためには、お客さまとのコミュニケーションを大切にしてご要望やニーズなどに耳をかたむけていきたいです。 もうひとつは、今回の中村正人さんとのプロジェクトのような、「アーティストのコラボ」という分野にとても可能性を感じています。スポーツの分野もあるかもしれません。高い機能性と、デザインでの表現力。この両方を兼ね備えるウエア…例えば今、女性の塗装職人をイメージしてワークウエアのデザインを考案中なんです。今、様々な現場で女性が活躍していますし、アートやデザインの意味や力が重要になる。このような分野がもっとあると思うんです。

これは作業をする人の心が軽やかになりますね!デイリーにも着たくなるウエアです 。
では恒例の質問に入りますね。まずは、休日は何をされていますか?

休日はご飯を食べに行ったり洋服を見に行ったりしています。一番好きなのは井の頭公園でぼーっとすること(笑)。頭を空っぽにしてさまざまな人を見ているのが、いちばんのリフレッシュになります。

ご自分を動物にたとえるとなんでしょうか?

ハシビロコウ、が好きです(笑)。灰色の大きい鳥で、太いくちばしをしていて、ぜんぜん動かない、どしっとして。以前動物園で見て、なんだかすごく存在感があってくぎづけになりました。僕の憧れです(笑)

では最後の質問、ご自分をHARADAの商品にたとえるとなんでしょう?

HARADAの商品にたとえるのが難しいので…私の実家にある、作務衣でいいですか? もう古い代から引き継がれたもので、あちこちにつぎはぎが施されていて色味もあせています。それが、なんともいえない唯一無二の存在感になっているのです。昔どのような作業を行ってきて、どのように暮らしを支えてきたのかが想像したくなります。新品の綺麗な服にはない「背景がある」「生活の歴史がある」服、これはワークウエアの美の究極なのではないでしょうか。長く仕事を支え、歴史を重ねて生きて輝く…ものづくりとしての憧れです。



過去の記事